渋谷龍一のドラゴンノート2023.03

【第6編】子ども〜どう育てるつもりですか〜性教育

2023/03/13

ジェンダーフリーな社会にしたくても、子どもたちが「無知」へ誘われるのなら、とても厄介です。しかも、しんどいけれど避けて通れない性教育の問題があります。日本には強烈な「性教育バッシング」があるのを知っていますか。

やっぱり無知が出発点です。この無知は、子どもをあらぬところへ向かわせてしまいます。女性のことをあまりにも知らないので、女性を差別したり支配したり、ハラスメントやDVまで当たり前になってしまうのです。でも、性教育? そりゃだめだ!という日本社会では手詰まりです。無知が原因なことはわかり切っているのに教えない、だから救えない、というのは一体どういうことなのでしょうか。

例えば、太田啓子さんのベストセラー『これからの男の子たちへ』はとてもわかりやすく解説しています。また、エイデル研究所の『季刊セクシュアリティ』など性教育の専門誌の完成度にはとても高いものがあります。著者や編集者の背後に見える、日本の子どもを守ろう、学校の生徒を守ろう、という必死の思いを意気に感じてほしいのです。性教育は男性の加害者候補と女性の被害者候補を量産するか封じるかの分かれ道です。

大人の男性、例えば労組の男性役員や組合員の多くは、生理のことすらよくわかっていません。だから真顔で、生理休暇はもう廃止しよう、男性にはそんな休みはないぞ、などと言い出すのです。賃金や選挙には詳しくても、職場や家庭の女性のことはありきたりの想像しかできないのです。

子どもたちはSNSを使うようになりますから、性教育をタブー視している場合ではありません。無知は無知で終わらず、どんどん暴走していきます。しばらくすれば、オレたちだけの秘密の有害な知識に変わります。女性に対するひどい扱いと、見ないように触れないようにしてきた性教育とのつながりが、はっきりと見えてきたのなら、子育ては変わります。あなたは女の子、男の子を守りたくないですか。

渋谷 龍一 (しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
日本労働ペンクラブ会員。主著に『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)がある。
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