渋谷龍一のドラゴンノート2017.11

【第2編】働く~もう「非正規社会」だって わかっていますか~「主役」は夫

2017/11/14

今回から第2編に入ります。「働く」ということ、世の中で労働問題と呼ばれる内容を題材にして考えます。学者の専門分野のように、労働と生活を切り離すのはやめましょう。二つをつなげて考えないから、的外れになるのです。

少し観察してみれば、すぐ気付くことですが、夫や父親は帰宅してから、これから家庭生活だと簡単に切り替えていません。笑顔を見せず、「ああ、疲れたー」と身動きもしなかったり、不機嫌な顔で「お前たちに俺の苦労がわかるか」などと言ったりしていませんか。夫は会社で働くことの影響を直接に被って家庭に持ち込み、妻や子どもへ渡します。つまり、家族まで夫の会社に組み込まれています。なぜそんなことになるのでしょうか。

夫は大黒柱として、給料を稼いできます。信じられないかもしれませんが、妻の分も含めて稼いできます。ですから、夫の給料ではなく「家族給料」のようになります。妻が専業主婦ならすぐわかりますが、妻が働いている場合でも夫の方が稼ぐのです。夫がたっぷり働くことを否定しているのではなく、家族の分もまとめて働く仕組みの意味を知ってほしいのです。女性の給料が低いのは、夫が目いっぱい働くための準備や手助けをする妻の「ケア」の役割があって、その分は家庭にいるはずだからです。妻はそんなに企業でがんばらなくていいよ、という位置付けなので給料が低いのです。

例えば、夫には家族がいると手当が出て稼ぎが増えます。これは家でケアをしていてもその給料が出ない妻へ会社が出す不思議な手当です。妻が別の会社で働いているとこの手当は出ません。

中心の夫と周辺の妻。仕事を含めて考えた夫婦の関係です。主役ぶりが際立っているほど、夫はあまり失業の心配がなくて、長く勤め続けて給料が高い働き方、すなわち正社員でなければなりません。この関係がわかれば、ようやく正社員以外、つまり非正規労働の問題を深く考えられるのです。

渋谷 龍一 (しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
『女性活躍「不可能」社会ニッポン原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)で2016年貧困ジャーナリズム賞を受賞。
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