【第2編】働く〜もう「非正規社会」だって わかっていますか〜シングルマザー2
2017.06月号「シングルマザー」で、今後シングルマザーが減るとは思えません、と述べましたが、予測が外れました。国勢調査によるとシングルマザーは100万人以上いますが増えてはいません。その代わり変化があります。
総務省統計研究研修所の西文彦さんは、「国勢調査」が発表されるたびにシングルマザーについて定点観測を続けています。西さんによると、結婚件数が減り離婚件数も減った5年間でシングルマザー全体は微減しています。唯一増えているのが、離婚していない、つまり結婚していないシングルマザーで、率にすると33.8%増です。12〜19歳の子どもの母親であるシングルマザーも増えています。イメージ通りではないので見落としがちですが、シングルマザーは高齢化しているのです。今や40代のシングルマザーが多く、主婦パートの年齢層と重なります。では、シングルマザーと主婦パートとはまったく違う存在なのでしょうか?
離婚という大きなイベントがあるかないか、に目が向きがちです。しかし、正社員で働くシングルマザーがいるにせよ、ライフコースから見れば他の女性と同じく、当然のように非正規労働へと吸い込まれる主経路があります。職場で主婦パートと一緒に働くことも多いでしょう。なぜでしょうか? 家事や育児のことを考えたらどうなるでしょうか?
國學院大學の水無田気流さんは、シングルマザーを日本社会の問題の集積点と見ます。なるほど。でも、著者には主婦パートが集積点に見えます。しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長の赤石千衣子さんは、シングルマザーに目を凝らしているうちに、視界に入る主婦パートが「構造」にはまっていると見破りました。まったく同感です。主婦パートとシングルマザーは全然立場が違う、という決め付けが多いものの、実は同根なのです。違う、という結論が先にあるのではなく、本当に違うのか、同じではないのかをよく考えることが大切です。
日本労働ペンクラブ会員。主著に『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)がある。