渋谷龍一のドラゴンノート2020.11

【第4編】パートナー〜そろそろ「オトコ社会」に気付きましたか〜産後のポチッ2

2020/11/13

「産後クライシス」はNHK「あさイチ」が普及させましたが、最近は東京新聞WEB版にリアルな記事やコメントがたくさん掲載されています。やっぱり当事者から実話を聞くと、深刻さがよくわかります。ほんの一部だけ紹介します。

「出産後、大変だから早く仕事から帰ってきてほしいと伝えたら『そんなに?』と言われた」「夜泣きや夜間授乳がつらいと夫に伝えたら、『こんなにかわいい子と24時間一緒で何が不満なの?』」「夫に失望、いないほうがまし」「夫の親と同居して、同居と子育てのストレスがたまる一方なのに、たまにしかない休日はパチンコに出掛ける夫」「出産のときに、『お前より赤ちゃんの方が苦しいんだぞ』」「夫は何を言うてもホンマに真剣に考えてへんし、とりあえずその場しのぎで言うてるだけで中身が伴わないからアカンわなあ。夫の日頃の行いを見て、2人目を諦めたことも理解してへん」「妊娠中おなかが大きくて風呂掃除ができないのでお願いしたら『楽をしたいだけだろう』と言われ、家事に一切協力してもらえなかった」「私の心の奥にはしっかりと覚えています。優しい言葉や気遣いがなかったこと。今に見てろと日々思っています」

コロナ禍で生活が激変したことで、新たな発見をしたり、見過ごしていたことを思い出す場面が多くなっています。いま、コロナ前よりも家事育児に追われることになった女性はどこかで見た風景を見せられています。そう、ポチッと心のスイッチが入ったあの日です。

知らないうちに連れて来られたこの場所で、もう遅い、もう戻れないと決断した女性たち。決断に迷って疲れ切り、折り合いをつけることに慣れきっていた自分の姿を見せられ、その痛みが容赦なく襲い掛かります。もう諦めるしかなかったあの日とは違う成熟した身で考え始めます。何を?

コロナ離婚なる言葉が目新しくなくなりましたが、もちろん、コロナで離婚するわけではありません。コロナが女性の心をえぐるのです。

渋谷 龍一 (しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
『女性活躍「不可能」社会ニッポン原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)で2016年貧困ジャーナリズム賞を受賞。
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