特集2022.03

若者と労働組合
労働組合の意義を伝えるには?
若手組合員に聞く
労働組合のイメージは?

2022/03/15
若手組合員は労働組合にどのようなイメージを持っているのだろうか。KDDI労組と通建連合の3人の若手組合員に話を聞いた。

労働組合のイメージの変化

今回、話を聞いたのは、KDDI労組のAさん(27歳、入社3年目)と通建連合のBさん(24歳、入社2年目)とCさん(25歳、入社2年目)の3人。

3人の入社前の労働組合に対するイメージは、「何となくニュースで聞いたことがあるくらい」(Aさん)、「会社の利益を向上させるための組織」(Bさん)、「何をしているかわからない」(Cさん)というもの。Bさんは、「労働組合が、従業員の賃金や労働時間にかかわる組織だと思っていなかった」と率直に話してくれた。

とはいえ、3人とも労働組合にネガティブなイメージを持っていたわけではない。3人とも「少なくともネガティブな印象はなかった」と話してくれた。

3人の労働組合との最初の接点は入社後の説明会。その時の印象は、「説明を受けても正直よくわからない部分もあったけれど入っておいた方がいいのかな」(Aさん)、「労働組合の福利厚生で割引サービスを使えると知ってびっくりした」(Bさん)、「給料とかボーナスについて会社の上の方と掛け合ってくれている」(Cさん)というもの。

労働組合に入っていてよかったと実感することについて聞くと、Bさんは「賃金を上げるために交渉してくれていること」、Cさんは「暑い時季に塩分補給のサプリを配布してくれたり、ねぎらってくれること」と答えてくれた。

Aさんは、職場の先輩に声を掛けられて分会の執行委員になった。労働組合の存在意義を感じるときは、「春闘で会社と交渉し、要求どおりになることはなくても、会社に意見を伝えるところに労働組合の意義があると思う」と話す。また、「会社の制度に詳しくなれるので、分会役員になってよかった」と付け加える。

労働組合に対するイメージはどう変わっただろうか。

Aさんは、「会社との事務折衝や機関紙づくり、安全衛生委員会など、労働組合がいろいろな活動をしているのだなとわかった」、Bさんは「賃上げや福利厚生など、自分にとってもメリットがあるというイメージに変わった」、Cさんは「新入社員の意見でも会社に伝えてくれる。会社を変えるために動いてくれているとわかった。労働組合はないよりか、あった方が絶対にいい」と、それぞれ話す。

若年層にどう伝えるか

労働組合の必要性を若年層に伝えるためにどうしたらいいだろうか。

Aさんは、「入社後の説明会だけでは、会社からの説明などもあり手いっぱいなので、少し落ち着いてからあらためて説明の場を設けてほしい。労働組合との接点が少ないので、何かしらの場を設けた方がいいと思う。特に賃金や労働環境など、若手社員が関心を持ちそうな分野に絞って説明すれば、そこから興味を持ってくれるのではないか」と話す。

Bさんは、「就職活動時には、企業の残業時間や有休消化率などの労働条件や福利厚生などを調べたが、それが労働組合に結び付かなかった。就活生は、そういう情報を必ず調べているので、賃金や労働時間を決めるのに労働組合がかかわっていると知れば、関心を持ってくれると思う」。

Cさんは、「労働組合がどのような組織かわからないので、労働組合のことを説明する機会をつくってほしい。就活生には、自分の意見を会社に伝えるために労働組合があると伝えたい」と話す。

3人の話に共通するのは、労働組合に関する情報の少なさだ。入社前だけではなく、労働組合に入った後も情報が少ないという意見も共通する。3人とも「若手組合員は、賃金や労働条件に敏感」だと指摘する。自分の生活や働き方に直結する賃金や労働条件の決定に労働組合がかかわっていることを積極的に知らせれば、若手組合員の労働組合への関心も高まるはずだ。

特集 2022.03若者と労働組合
労働組合の意義を伝えるには?
トピックス
巻頭言
常見陽平のはたらく道
ビストロパパレシピ
渋谷龍一のドラゴンノート
バックナンバー