巻頭言 UNITE2023.04

東日本大震災から12年
復興の課題とは

2023/04/12

2023春季生活闘争

2023春闘は、3月15日の集中回答に続き、各加盟組合で妥結に至っている。3月25日時点で、春闘に取り組む組織も賃金改善を要求する組織も昨年を上回っている。これまで妥結した加盟組合では、それぞれではあるが、総じて、昨年以上の結果を出しており、今次春闘のポイントとしている「持続的な賃金改善」「物価高騰を踏まえた賃金改善」「有期組合員等を含めた賃金改善」などが導き出されており、現時点、一定の評価ができる内容と認識する。

今後の加盟組合の春闘結果を見て、全体的総括を行う。舞台は、最大の焦点となる中小加盟組合の春闘に移るが、これからが本番であり、中央本部・ブロック支部・県協は、最大限のバックアップをしていく。

被災地を訪ねて

さて、3月11日で東日本大震災の発災から12年となった。メディア等で報じる量は、めっきり減ったと感じる。

現在でも、3万人を超える人が避難生活を余儀なくされており、福島第一原発の廃炉作業は、まだまだ先が長い。また、今後想定される南海トラフ地震や首都直下地震等の備え・防災対策が、全国至る所で唱えられている。東日本大震災の記憶を風化させてはならず、その教訓から学ばなければならない。

情報労連は、発災から復興ボランティアをはじめ、カキオーナーの取り組み、現地視察や学習会など、多くの組合員とともに被災地に寄り添い、風化に抗する取り組みを展開してきた。

3月27〜28日にかけて、12年が経過した被災地の現状を実際目で見て、これまで関係した人たちの話を聞き、「復興とは」「何がこれから必要なのか」「被災地の想い」などを伝えたいと思い、宮城県石巻市と南三陸町、福島県南相馬市を訪ねた。取材模様は、本誌5月号に掲載予定である。

12年の月日は、地域の濃淡はあるものの、被災地の景観を変えていた。再建が確実に進み、復興の進展を感じた。被災した地域には遺構やメモリアル施設がつくられ、震災の記憶を忘れることなく伝え続け、訪れる人に防災の重要性を呼び掛けている。

3地域とも共通して訴えていたのは、住民同士のコミュニティーづくりである。国や行政の助成が減っていく中で、自立とサポートのバランスをつくっていくことが今こそ重要な課題であると訴えていた。

背景に、人口減少、高齢化、高齢者一人世帯など、全国共通の課題があり、福祉のあり方が問われていると感じた。「復興とは、何をもって復興というのか」難しい問題が提起されている。

南海トラフ地震をはじめ、大地震が各地で警戒されている。国・自治体をはじめ、すべての組織と人が防災を怠ることはできない。命を守り、安心して暮らしていくためには、何が必要で何をしていかなければならないのか、深く考えさせられた。公益社団法人3.11メモリアルネットワークの藤間千尋さんは、「長く見続けることが重要」「日常の中に防災がある」と言われていた。現状を表す実に言い得て妙の言葉である。12年たった被災地は、まだ、多くの課題があり、その試みは、私たち全体の課題でもある。

安藤 京一 (あんどう きょういち) 情報労連 中央執行委員長
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