特集2018.08-09

職場の労使協議/ワークルール総点検春闘の準備は1年を通じて現場の声を把握しよう

2018/08/10
春闘を実りあるものにするためには入念な準備が欠かせない。組合員や使用者との日頃からのコミュニケーションが求められる。ポイントをチェックしよう。
浦 早苗 情報労連中央執行委員(組織対策局)

春闘はいつからはじまるか

春闘はその名の通り春に行う一斉闘争であり、多くの組織が3月を軸に要求を行っています。3月まで半年程度ありますが、要求に向けては事前の準備が欠かせません。

要求内容を決定するには、「要求内容の検討に向けた情報・意見の収集」「執行部案作成」「要求案を基にした組合員との討議」といった組合員の意見を反映させるためのステップが必要です。また、制度改定などの大きな要求を行う場合には、さらに早い段階で使用者側と課題認識や方向感について議論を重ねることも想定されます。

どんな準備が必要になるか

賃金に関する要求を行う場合、まずは会社の財務状況や事業環境、会社の賃金制度と組合員の賃金実態、同業種や同地域での賃金の状況などを把握しましょう。会社の財務状況を把握することが難しい組織では、「定期的な経営状況の開示」を、賃金制度がない(もしくは開示されていない)組織では、「賃金制度の導入(開示)」を、春闘で要求することから始めるのも一つの方法です。

また、組合員の賃金実態は、組合員に直接調査することで水準や傾向を把握することができます。情報労連では例年6月を中心に賃金実態調査の取り組みを展開していますが、各労使の事情に応じて実施時期を検討しましょう。

賃金以外の要求については、自組織の中で「組合員が困っていること」や、「会社として対応・改善すべきだと思うこと」が要求ベースになります。連合および情報労連の方針や社会的に注目されている課題等を参照しながら、就業規則のチェックや組合員の意見等で実態把握を行いましょう。

現場実態の把握は交渉の原動力

現場実態の把握に向けては、職場集会やアンケートなどの能動的なアクションが必要です。さらに組合員の本音を聞くには「労働組合になら話せる」信頼感と「自分の意見が労働組合や会社をつくる」という意識醸成が欠かせません。当初、意見は出なくても、労働組合が職場環境の改善に向けて取り組む姿を組合員に見せることで信頼関係を少しずつ構築し、組合員参加型の運営へつなげましょう。

過半数労組ではない組織であれば、事業場の過半数代表者や安全衛生委員などの労働者代表との意見交換も実施してみましょう。また、パート・有期契約社員や派遣社員などを組合員の対象外としている組織であっても、会社全体の課題を認識し、組合員からの意見や要求を客観的に分析するためにも当該社員との意見交換は有効です。職種や働き方、価値観などが多様化する中、何を要求するかは取捨選択することになります。要求案を作成したら、組合員になぜこの要求を行うのかについて、会社の現状や組織課題も含めて説明しましょう。

会社に不可欠な交渉相手として

また、使用者との交渉を行うこと自体はその時々の情報・意見があれば実施は可能ですが、より建設的な交渉を行うには、労働組合が有益であると使用者に理解してもらうことが重要です。

労働組合が、使用者の耳に届きにくい現場実態や課題を広く把握し、会社の現状も把握した上で、改善に向け労使で知恵を絞ろうとする組織なら、使用者にとって労働組合は重要なパートナーとなり得ます。

組合員同様、使用者との信頼関係も一朝一夕では築けません。労働組合が恒常的に現場の声を聴き、より働きがいのある職場環境構築の取り組みを絶えず行うことで、会社全体を良くしていくという組合機能が、通年的に発揮されていることが何より大切であることを考えれば、春闘の準備は通年で行っていると言っても過言ではありません。

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