特集2018.08-09

職場の労使協議/ワークルール総点検改正派遣法の「2018年問題」
労組は直接雇用の意見提起を

2018/08/10
今年9月、労働者派遣法の改正から3年が経過し、派遣労働者の期間制限のルールが発動する。労働組合のチェックポイントを整理する。
松岡 康司 情報労連中央執行委員(政策局)

派遣法改正から3年

労働者派遣が適切に行われているかを点検し、その結果に基づく必要な対応を行うことは、派遣労働者のみならず、その職場で働くすべての仲間にとっても働きやすい職場環境につながる労働組合の重要な取り組みです。

特に今年9月30日は、改正労働者派遣法の施行から3年が経過する節目に当たり、原則3年以内とした派遣可能期間にかかわる対応が必要になります。ここでは派遣可能期間について、改正内容を振り返りつつ、対応の留意点について解説します。

期間制限ルール

2015年の労働者派遣法の改正により、それまでの業務区分による期間制限が廃止され、すべての業務において派遣先事業所単位と派遣労働者個人単位の2種類の期間制限が設定されました。

派遣先事業所単位については、同一派遣先の事業所において、派遣可能期間である3年を超えて派遣就業することはできない(起算日は、派遣先企業であらたに派遣労働者を受け入れた時)という期間制限が設けられました。しかし、これには例外があり、「派遣元で無期雇用されている派遣労働者」や「60歳以上の派遣労働者」などは、期間制限の対象外となります。また、派遣先が派遣先事業所の過半数労働組合等から意見を聞くことにより、3年を限度として派遣可能期間が延長することが可能となっています。これについては、後段で説明します。

派遣労働者個人単位についても3年を超えて派遣就業することはできませんが、派遣先事業所単位と同様に「派遣元で無期雇用されている派遣労働者」や「60歳以上の派遣労働者」などは、期間制限の対象外となります。また、派遣先企業が派遣先の事業所の過半数労働組合等から意見を聞くことにより、3年を限度として派遣可能期間を延長することができますが、派遣先の事業所における同一の組織単位(いわゆる「課」などを想定)への同一人物の派遣はできません。

期間制限ルールへの対応

労働組合として期間制限ルールに対応するためにはまず、(1)事業所として新たに派遣労働者を受け入れた起算日(2)派遣労働者個々人の派遣開始月日、配置、業務内容─等を把握する必要があります。また、派遣先企業における派遣労働者の位置付けや派遣期間の考え方について、派遣労働者の受け入れ時に、労使間で整理しておくことも重要です。派遣先企業が過半数労働組合に意見を聞く際に、そのようなデータを求めるなど、労働組合からの意見聴取は抵触日の1カ月前までとなっていることから、早目に労使対応を行う必要があります。

労働組合の意見表明

派遣先企業からの意見聴取に際しては、「派遣労働は臨時的・一時的が基本原則であり、雇用の原則は直接雇用である」を基本に、労働組合として意見をしっかり表明することが重要です。派遣期間が3年を超えるというのは、本来その仕事が派遣ではなく直接雇用で対応すべき業務の可能性があります。まずは、延長させようとしている業務内容や理由等を把握した上で、直接雇用での対応について提起することが肝要です。また、これらの意見聴取の営みが労使間でルール化されていなければ、労使協議等のルール化を求めることも重要です。

「派遣労働者も同じ職場で働く仲間である」との認識のもと、派遣労働者の「ICTJユニオン」への結集の呼び掛けの強化も合わせて要請します。

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