特集2018.08-09

職場の労使協議/ワークルール総点検安全に健康に働くために安全衛生委員会を活用しよう

2018/08/10
労働者が安全に健康に働くためには、職場の状況の日頃からの問い直しが不可欠です。安全衛生委員会などを積極的に活用しましょう。
小勝 吉久 情報労連中央執行委員(政策局)

安全衛生委員会の設置

安全衛生委員会は、労働安全衛生法に基づき、最低月1回以上の開催が義務付けられています。安全衛生の向上や労働災害の防止は労使双方による取り組みが必要であり、安全衛生委員会を活性化させ、その取り組みを職場に浸透させることが重要です。具体的な設置における留意点や活用のポイントなどについて解説します。

安全衛生委員会の設置基準は、労働安全衛生法に基づき、一定の基準(表)に該当する事業場では安全委員会、衛生委員会(または両委員会を統合した安全衛生委員会)を設置する必要があります。

このように労働安全衛生法では、事業場の従業員数に応じて設置することが義務付けられていますが、労働災害の防止や安全衛生の向上は、すべての職場において重要です。事業場の規模に限らずに労使で協議する環境を労働組合が率先して会社側へ働き掛ける必要があります。

一方、安全衛生委員会の構成委員(統括安全衛生管理者等を除く)の半数は、労働者代表として、労働組合等による推薦に基づき選出することになっています。それは、労働者の危険または健康障害を防止するための基本的な対策(労働災害の原因および再発防止対策等)などの重要事項について、委員が各々の立場から十分な調査審議を行えるようにすることを目的としています。

職場の意見を把握・反映させる

安全衛生委員会は、団体交渉や労使協議会とは性格が異なり、労働災害の防止や健康保持・増進に関する会社施策等について、労使で構成する委員が主体的に審議する場です。そのため安全衛生に対する会社の基本的な考え方などもチェックできる絶好の機会となります。

情報労連は、「働く者の安全確保と、企業の社会からの信頼・信用の確保の観点から安全・衛生の確立は重要であり、労使の共通課題である」と捉え、職場の仲間を守るためにも安全衛生委員会の設置と活動の促進を行っています。

労働災害を防ぐためには、安全衛生委員会が設置されているだけでは足りず、その活動が、(1)マンネリ化していないか(2)活動が停滞していないか(3)労使双方でしっかり議論できているのか─などについて、自職場の状況を常にチェックする必要があります。

また、自分たちが安全に働く職場の環境整備だからこそ、職場第一線で働く私たちの意見を、安全衛生委員会での審議に反映していかなければなりません。そのためには、労働組合が職場における対話活動等で意見を集約し、職場実態を常に把握しておくことが肝要です。労働組合からの意見提起を安全衛生委員会に反映していくための取り組みが重要となります。

事業場ごとに設置される安全衛生委員会だからこそ、構成委員である労働者代表には、職場をよく知る労働組合役員が就任するなど、各事業場の安全衛生委員会の活性化に向けた対応を行う必要があります。

ストレスチェックへの対応も

一方、2014年6月の法改正に伴い、ストレスチェックと面接指導の実施が義務化されたことから、職場実態を踏まえた実効性のあるメンタルヘルス不調の未然防止策などの対応が求められています。

単に実態や傾向を把握するだけにとどまらず、必要に応じてそれらの要因や背景を探求し、改善に向けたアクションを実行していかなければなりません。そのためにも、安全衛生委員会では、施策の実施とその評価に関しても審議事項としてしっかり議論し、実効性を高める取り組みを行う必要があります。

労働組合としては、安心で安全な職場環境を構築するためには、安全衛生委員会への積極的な参画と活性化に取り組み、組合員一人ひとりの健康・安全をしっかり確保する取り組みを行っていかなければなりません。

安全委員会・衛生委員会の設置基準

安全委員会

(1)常時使用する労働者が50人以上の事業場で、次の業種に該当するもの
(林業、鉱業、建設業、製造業の一部の業種(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、運送業の一部の業種(道路貨物運送業、港湾運送業)、自動車整備業、機械修理業、清掃業)

(2)常時使用する労働者が100人以上の事業場で、次の業種に該当するもの
(製造業のうち(1)以外の業種、運送業のうち(1)以外の業種、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業・小売業、家具・建具・じゅう器等卸売業・小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業)

衛生委員会

常時使用する労働者が50人以上の事業場(全業種)

安全委員会および衛生委員会の両方を設けなければならないときは安全 衛生委員会を設置することができる(安全衛生委員会設置&活性化ハンドブックⅢ参照)
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