特集2022.01-02

石橋みちひろは
こんな人
沖縄の声を全国へ
「沖縄の痛み」を感じ取れる
数少ない議員の一人

2022/01/19
石橋議員が初当選以来、ライフワークとして取り組んできたのが、沖縄の在日米軍基地問題だ。現地の仲間は石橋議員の存在をどう捉えているのだろうか。連合沖縄の砂川事務局長(情報労連出身)に聞いた。

重い負担を背負わされる沖縄

沖縄は2022年5月、日本復帰50年を迎える。推計で約9万4000人もの一般住民が犠牲となった沖縄戦の後、沖縄は1972年までの27年間、米軍の施政権下に置かれた。日本復帰から50年たった今も、在日米軍基地の重い負担を背負わされている。

「米軍の訓練の頻度が高まっている」と話すのは、情報労連出身で連合沖縄の砂川安広事務局長。「守られるべきルールが守られず、朝早くから夜遅くまで軍用機が飛び交っている」と証言する。

また近年は、米軍基地から放出された汚染水が問題になっている。沖縄県の2016年の調査では、嘉手納基地周辺の河川から高濃度のPFOSが検出された。PFOSは発がん性の疑いが指摘される有機フッ素化合物の一種。自然界ではほぼ分解されないといわれる。2021年6月には、うるま市の米軍施設からPFOSを含む泡消火剤が混入した汚染水が流出し、流出元の水槽から国の暫定指針値の1600倍近いPFOSが流出したと報じられた。さらに8月下旬には米軍がPFOSを含む汚染水を普天間飛行場から下水道に放出した。

「小学校の近くでも汚染水の影響があると報道されている。子どもたちの健康被害などが心配だ」と砂川事務局長は話す。

さらに11月には、普天間基地所属のオスプレイから住宅地に金属製の水筒が落下。幸いけが人はいなかったが、危険と隣り合わせの実態が改めて露呈した。

加えて11月には、辺野古新基地建設を巡って、防衛省が申請した軟弱地盤の改良工事などの設計変更を玉城デニー知事が不承認としたが、これに対して沖縄防衛局が行政不服審査法に基づく審査請求を行った。

「この規定は本来、個人が行政に対して用いるもの。防衛局が『私人』を語って利用するのはおかしい。しかも審査するのは国土交通相。『出来レース』だと見られている」と砂川事務局長は憤る。

砂川事務局長は、「沖縄の米軍基地を巡る情勢は改善していない。地元紙は問題を大きく取り上げるが、本土のマスコミは報じてくれない。多くの国民は、観光地としての沖縄には興味があるが、基地問題のような負の側面には声を上げようとしていない。有事があれば基地のある沖縄が標的になるが、遠い島の話だから自分には関係ないと思っているのではないか」と訴える。

辺野古の軟弱地盤について質問(2020年2月)

政府の矛盾を追及

そうした中、石橋みちひろ議員は、初当選から継続して沖縄の声を国に届け続けてきた。超党派「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」の事務局長を務め、何度も沖縄に足を運び、実態を踏まえた問題点を政府に突き付けてきた。

最近の活動を取り上げると、2021年3月には、辺野古新基地の埋め立てのために使われる土砂の採取場を訪問。土砂には沖縄戦の犠牲者の遺骨が含まれる可能性があるため反対運動が起きている。石橋議員は、土砂の使用に反対する住民の声を聞いた。

その前年と前々年には石垣島と宮古島を訪問。自衛隊配備に関して地元住民と意見を交わした。

また、辺野古新基地建設の現場にも何度も足を運び、地元住民などの話を聞いてきた。

「石橋議員は、何度も沖縄を訪れ、辺野古の海に出て、現場に足を運んで、住民の話を聞いてきた。現場主義は12年間一貫している」と砂川事務局長は話す。

そこで得た知見などを生かして石橋議員は、政府の施策の矛盾を国会などで明らかにしてきた。

例えば、2020年1月の予算委員会では、大浦湾側の工事予定区域内の「マヨネーズ並みの超軟弱地盤」の存在を指摘。前年の県民投票で基地建設反対の意思が明確になったことと合わせ、安倍首相に「辺野古工事を即刻中止すべき」と迫った。

このほか、辺野古新基地が建設された際に周辺の建物が高さ制限を超過する問題でも、現場を視察し、矛盾を指摘してきた。「実体験から出てくる言葉は重い」と砂川事務局長は話す。

「国会で沖縄の基地問題を取り上げてくれるのは少数派。沖縄県選出の議員でも保守系の議員は、県民が人権を蹂躙されても、健康被害を受けても声を上げてくれない。そうした中で島根県出身の石橋さんが地元の議員以上に現場に通って、沖縄の声を発信してくれている。沖縄出身の議員以上に心強い」

石橋議員は、国会で政府の施策の矛盾を指摘するだけではなく、議員懇の事務局長として、沖縄の基地問題を理解する議員の拡大にも熱心に取り組んできた。

「沖縄に来るたびに仲間を連れてきてくれる。沖縄のことを理解する議員が少しずつ増えるのはうれしい」と砂川事務局長は語る。

さらには、辺野古新基地建設阻止に向けて、国内だけではなく、国外への働き掛けも行っている。2020年1月にはアメリカ・ワシントンを訪問。米国の民主党議員などと交流した。

平和行動のDNA

沖縄の基地問題は、石橋議員のライフワークとも言える。振り返れば2009年、組織内候補として全国行脚のスタートを切ったのも情報労連の沖縄での平和行動でのことだった。

石橋議員はなぜこれほど沖縄の基地問題に熱心に取り組むのか。砂川事務局長は「情報労連は平和運動に熱心に取り組んできた。そのDNAが組み込まれているのではないか」と推測する。

沖縄の基地問題は、自分に関係のない「遠い話」で済ませていいことだろうか。1969年、沖縄県祖国復帰協議会の喜屋武眞榮議長は、衆議院予算委員会の公聴会で「沖縄同胞の心情を人ごとと思わず、どうか小指の痛みは全身の痛みと感じ取ってください」と発言した。石橋議員はその痛みを感じ取れる議員なのだ。

「石橋議員が国会にいなくなったら、超党派の議員の広がりもなくなってしまうのではないかと心配している」と砂川事務局長は訴える。沖縄には米軍基地の整理・縮小を求める情報労連や連合の仲間がいる。沖縄の仲間の声を全国に発信するためにも石橋議員はなくてはならない存在だ。

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