特集2022.01-02

石橋みちひろは
こんな人
外国人労働者問題に不可欠な石橋議員
入管法改悪を廃案に追い込んだ行動力とは?

2022/01/19
人権侵害がまん延する外国人労働者問題。その問題に取り組む指宿弁護士は、石橋議員のことを問題解決のために不可欠な存在だと訴える。入管法改悪を廃案に追い込んだその行動力とは?
指宿 昭一 弁護士

まん延する人権侵害

技能実習制度は、1993年の創設当初から人権侵害がまん延していました。

大きくて三つの問題を指摘できます。

1点目は、技術・技能の移転による国際貢献という目的が真っ赤なうそで、実態は安価で文句を言わない労働力の確保として使われてきたこと。

2点目は、転職の自由が認められていないこと。そのため実習生は、労働条件がどんなに悪くても黙って働くしかない状態に追い込まれています。

3点目は、送り出し国と日本で二つのブローカーが関与して、中間搾取と人権侵害の仕組みを実習生に押し付けていることです。実習生は送り出し国のブローカーに多額の費用を払っています。例えば、ベトナムでは約100万円。これは年収4年分にあたります。実習生はこのように実質的な債務労働の状態で働いています。一方、日本側の監理団体は送り出し国のブローカーから裏でキックバックを得たり、受け入れ企業から管理費を徴収したりして、間接的な中間搾取をしています。

実習生は劣悪な労働条件で働いています。過大な水道・光熱費が天引きされ、基本給が月額3万〜5万円しかないことや、時間外労働の時給が300〜500円しかないことも珍しくありません。セクハラ・パワハラもまん延しています。

特定技能制度の問題点

政府は2018年、外国人労働者受け入れのため新たに「特定技能」制度を創設しました。特定技能の基本的な枠組み自体は悪くないのですが、技能実習制度を温存したことが大きな問題です。これでは根本的な改善につながりません。

特定技能では、技能実習制度で挙げた1点目と2点目の問題はクリアできます。しかし、決定的な欠陥があります。3点目のブローカーに対する規制がないことです。この問題を解消するには、送り出し国と受け入れ国の双方にハローワークのような公的機関を設置し、求人・求職のマッチングの仕組みをつくるべきです。

立憲民主党は、韓国の雇用許可制を参考に、石橋みちひろ議員が中心となってこうした問題にも対応した画期的な法案の準備をしています。

外国人労働者への人権侵害をなくすためには、技能実習制度の廃止をはじめとした抜本的な改革が必要です。

余人をもっては代え難い

外国人労働者問題は、日本社会で十分理解されているとは言えません。野党議員の中でも問題について十分なコンセンサスが得られていないのが実情です。

そうした中、膝を詰めて率直に突っ込んだ話をできる数少ない議員の筆頭が石橋みちひろ議員です。

石橋議員が、共同会派「多文化共生PT」の座長や「難民問題に関する議員懇談会」の会長を務め、政策や法案の検討をしてくれているのは、外国人労働者の問題に取り組む個人や団体にとって「希望」です。

石橋議員は初当選以降、外国人労働者問題に取り組む弁護士や市民運動とずっと連携してきました。これまでの取り組みを振り返ると枚挙にいとまがありませんが、近年の取り組みを挙げると入管法改悪法案の廃案があります。

私たちは2019年秋には入管法改悪の情報をキャッチしていました。石橋議員はいち早く議員懇談会を立ち上げ、弁護士や市民団体、メディアなどと連携を強化してきました。法案は翌年2月に国会に提出されましたが、その時点から動いては絶対に間に合いませんでした。

その動きがあったからこそ、法案が提出された時点で、議員懇のメンバーを中心に法案の問題点がしっかり認識され、改悪反対の体制ができあがっていました。その結束がなければ廃案には追い込めませんでした。その行動力、判断力、政治力は本当にすごいと思います。

同時に、石橋議員が中心になって「対案」となる法案をつくりました(難民等保護法案・入管法改正案)。石橋議員は、参議院法制局と掛け合って法案を短期間で練り上げ、政府の法案が提出される数日前に野党6党で国会に提出しました。これにより政府法案の問題点がいっそう明らかになるとともに、「野党は批判ばかり」という批判を封じることにもなりました。石橋議員の先見の明と行動力、実行力は、本当に余人をもっては代え難いものがあります。

2020年3月に名古屋入管の施設でスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった事件でも、石橋議員は真相解明のために全力で取り組んでくれました。来日した遺族も石橋議員のことをよく知っていて、とても感謝しています。外国人の人権救済のために石橋議員は不可欠な存在です。

誇りに思ってほしい

外国人労働者や難民問題は、「票にならない」というのは、私は間違っていると思います。確かに、外国籍の人たちは、投票権を持っていません。しかし、その人たちの周りには家族や友人、支援団体を含め、たくさんの人たちがかかわっていて、石橋議員が懸命に活動していることを知っています。石橋議員が国会にいなくなったら大変だとみんなわかっています。

外国人の人権に関する取り組みは、情報労連組合員の皆さんに直接影響しないかもしれません。けれども、外国人の人権が守られないような社会は、日本人の人権も守られない社会につながります。その意味で、石橋議員は、日本の労働者と市民の権利を守るための最前線で戦っています。情報労連組合員の皆さんには、外国人労働者や難民の人権保護のために懸命に活動する石橋議員のことを誇りに思ってほしいと心から願います。

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